7月 2011

上真野小学校

さあ!はじめるよ

あとは好きに描いてごらん

7月12日
南相馬市立上真野小学校に間借りしている、上真野臨時児童クラブを再訪した。

「こんにちはー!」私たちが教室に入るやいなや、パアッととびきりの笑顔が広がり、「わあ!会いたかったぁ。待っていたよぉ~。」と大歓迎してくれる女の子たち。
前回、帰り際に、「絶対また来てね!」と指切りをした子たちだ。それ以来ずっと、気になっていた。約束が果たせて本当によかった。

今日は、アーティストのMAYA MAXXさんと「夢のお絵描き会」。
今回の5日間遠征にボランティアで同行して下さっているMAYAさんの来訪を喜び、南相馬市教育委員会の横田さんが一連のプログラムに、こんなタイトルをつけてくれたのだ。

MAYA MAXXさんと一緒に絵が描けるなんて、本当に夢の時間だよ。子どもたちはまだ、気づいていないだろうけどね。

そして子どもたちはまた、思い切り楽しんでくれた。この笑顔を見ると、本当に疲れが吹き飛ぶ。

あれから1ヶ月余り経ち、この周辺も徐々に再生しているのを感じた。制限により放棄された田んぼや畑が茶色くひび割れ乾燥していたところに今や緑の雑草が元気いっぱい生い茂っている。
子どもたちや大人たちの表情も和らぎ、明るくなっている。そして子どもたちの描く絵には、ぐんぐん伸び広がる木の枝が描かれ、新芽が伸びはじめ、ピンクの花や青い種が生まれていた。

見えないものへの不安や困難はたくさんあるけれど、ここ南相馬で日常を送る子どもたちが、とにかく太陽を求めて伸びる植物のように、上を向いて元気に生きていったら大丈夫だと思った。

そして私たちは、この子どもたちを守るために、出来ることはなんでもしよう。
日々再生している。子どもたちの絵に希望を感じた。

Written by Masako

 

9日の角田東グランド仮設住宅で一人のおばさんに「針がなくて困っているから、一本ほしい」と言われた。裁縫道具はある(多分貰った)とのことで糸はあるらしいが、針が短くて使えないらしい。
ショックでした、針もないの?って。本当に「家を失うってこういう事なのか」という事を、やっと遅まきながら実感として理解した次第。
「ここにいる人達は本当に何もかも無くしてしまった人達なんだ」とも。

なのに、その時ちょうど針が出払っていて足りない状態!後でと思い、スタッフには伝えたものの、私自身は男の子たちと人形作りに夢中になってそのままに!ごめんなさいおばさん、帰る時に「ありがとね」なんて声かけてくれたのに。

既に震災から4ヶ月、ミシン大好きな私には、4ヶ月も針と糸のない生活は考えられない。長く入院した後、職場には復帰していても、ミシンで(日常やっていた)袋作りを一生懸命してやっと社会復帰をしたな~と思った事も思い出した。

日常的にやっていた好きな事を、夢中でやることが、精神的な復帰にはきっと有効なんだと思う。
ちっちゃい,アイちゃんを叱りつつ黙々と凝ったウサギの縫いぐるみを作っていた若いおかあさん、きっと私と同じ種類の人に違いない。

「もっと作りたい、午後はやらないの?」って、2ケ目も出来ていないうちから、「次は、何作ろう!!!」なんて創作に飢えていた少年兄弟。
出来上がったホチキス止めのドラゴンを皆に褒められて輝くような笑顔で記念写真撮られていました。仲いい兄弟、優しいお兄ちゃんといつまでも仲良くね。と願います。

 


絵の具で子供たちがのびのびと、楽しそうにはしゃいでいるのは本当にいいものですね。特に不自由な抑圧された状況では、いい活動だと思います。
それと、継続的な活動をされていることが(顔見知りの子供たちがいたりして)素晴らしいと思います!
今後もAFHの活動を陰ながら応援しています。暑い季節ですが、みなさんお体に気を付けてキャラバン続けられますように!

Written by ボランティアスタッフ Terumi

東京を出発して、3日目。
相馬市内の仮設住宅で、ハッピードールの日。

ひなたちゃん(5歳くらい)と、彼女の本日2品目の作品、「クリスマスツリー」づくりに取り掛かっていた時のこと。

小学1年生のよっちゃんが、「これ貼れよ」と、キラキラのスパンコールをひなたちゃんに突然差し出した。
二人は初対面だったらしく、また、よっちゃんの1年生とは思えぬ体格の良さとガキ大将キャラもあってか、ひなたちゃんは黙り込んだ。
が、スパンコールに心ときめいたらしく、わくわくした表情で、よっちゃんの言う通り、ボンドで貼ることに。
「キレイ!」。と、ひなたちゃん。
二人は打ち解けた。よっちゃんがボンドを上手に使う指導と次に貼るスパンコールを指示し、ひなたちゃんがそれに従った。

よっちゃんは、ひなたちゃんに「教えるのが上手だね。うちのお兄ちゃんよりすごい」と言われ、ますます指導に熱が入った。
「ひなたちゃんは、何が好き?」と聞き、ひなたちゃんが「りんご」と答えると、マジックでツリーにりんごを描き加えたりもした。

そして、ついに完成したキラキラがいっぱいのツリー。喜んだのは、ひなたちゃん以上に、よっちゃんでした。「俺が教えたんだよ!!!俺とひなたちゃんが作ったんだよ!」と言いふらしていました。

解散後、私はひなたちゃんと、よっちゃんと、よっちゃんの弟をお部屋まで送りました。よっちゃんは、自分のお部屋を通り過ぎてひなたちゃんをお部屋まで送り、「バイバイ」と玄関へ消えようとするひなたちゃんに、「おまえ、日曜日暇?遊ぼうぜ。また来るから、おまえも俺の家来いよな!」と叫んでおりました。
・・・・・・かわいい。よっちゃんが、ひなたちゃんを大好きになってしまったことが全身から溢れ出ていて、また、その中に、「この子は俺がなんとかしてやらなければ」というような男らしさ(?)も感じ、微笑ましくて仕方なかったです。

ところで、活動の最中、福島沖でマグニチュード7.1の地震が起きました。仮設住宅内の避難所も、震度4の比較的長い揺れ。その時の大人の方々に走った緊張感と、子どもたちの反応。楽しい活動の中で、私は、「私と今目の前にいる人たちの、ここにいる意味は違うのだ」ということを忘れることが出来ていたのですが、その時には、また、一瞬で思い出したのでした。

さて、ひなたちゃんを無事に送り、今度は私がよっちゃんをお部屋まで送り、お別れのとき。
「おまえはどこの家?」と、よっちゃん。「東京から来たんだよ」と答えると、「あ、そうなの?うん。じゃあ、また会おうな!!」。
自分が放つ言葉の重みを考え、一瞬迷ったけれど、私はよっちゃんに言いました。
「また会おうな。よっちゃん、頑張れよ!」。
するとよっちゃん、即答。「おう。おまえも、頑張れよな!」
・・・やっぱりなぁ。よっちゃんなら、そう言ってくれると思ったんだよなぁ。なんだか嬉しくて、笑ってしまった。
「うん、頑張る。じゃあね」。

私はまた東京で、世界平和のために、目の前の小さな仕事をコツコツやっていけるな。
そう確信しながら、走って集会所に戻りました。

Written by ボランティアスタッフ Satomi

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