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プログラムを実施する前に、被災地を見て周った。
これから出会う子どもたち、人々が、
どんな現場から逃れ、避難して来ているのかを自分の目で確かめ、
ほんの少しでも理解につながる足がかりがほしいと、
いつも思っている。
ここも著しく破壊されていた。
美しい海岸線で囲まれた小さく風光明媚な半島には、
おしゃれなヨットがたくさん停泊し、
海外からの観光客や移住者も多かったという。
ここで10代続く漁師を営んでこられたという女性に出会った。
未だに何もする気力が湧かないそうだ。
避難所を出て、仮設住宅に住むようになってからのことを考えると
不安で何も手につかないという。
「今は避難所でみんなと一緒だけど・・・。これからどうすればいいのか。
何もなくなった。10代続いた守るべきものも、今はない。」
何も言えなかった。
口下手だし、取ってつけたようなことも言えない。
ただ、手だけ握っていた。
たくさんの失ったものではなく、
たった一つでも残されたものの奇跡的なすごさの方を向いて、
どうか生きて下さい、と心の中で言った。
Written by Masako