11月 2011

震災以来、津波の被害はなかったものの比較的原発に近いところにいる私は日常を取り戻したかに見える生活を送りながらも、多くの喪失と深い苦しみが存在している地域のことを考えると何ができるのだろうと思い続けていました。
そして,artになにができるのだろう?と・・・・・。そこで、ARTS for HOPEの活動を知り思い切って参加してみました。

青空が気持ちいい暖かな日でした。亘理町児童センターの職員の方々は、被災され避難生活も経験されたというのに、皆さんとても明るく迎えて下さいました。
そして、ハッピードールプログラムが始まりました。色とりどりの布、ボタン、毛糸、リボン。さらさら、ふわふわ、キラキラ、てかてか、の感触と色彩に子どもたちはきっと、わくわくしたことでしょう。

みんなは、それぞれ、自分にしか作れないとっても素敵な作品を、じっくりと作りました。1~2年生の子供たちでも、針と糸を持ち、チクチクと、めげそうになりながらもちゃんと自分でやり遂げます。「偉いね。」と声をかけると、「おばあちゃんが、いつも縫物をしてるのを見てるから。」という子。どんな家族かな?と想像しながら見守ります。
男の子たちも、図鑑をめくっては、喜々として好きな昆虫を次々と作り上げていました。 中には、<かっぱ>なるものを作ってしまった子もいました。
素敵な作品が次々と生まれ、自分の手でそれを作り出した喜びに心が満たされ、ちょっぴりハッピーになれた時間でしょう。


午後に伺った岩沼市でも、ハッピードールを創ることをとおして子どもたちは充実感と、人と人との触れ合いのささやかな時間を、感じることができたのではないでしょうか。
後で、南相馬市から避難してきている子もたくさんいると知り、本当は私たちの知り得ないようなつらい思いを抱えている子もいるのかもしれないと思いました。
一見、普通の日常生活を送っているこの場所の、海側に広がっているであろうかなしい光景を感じながら、私たちの車がすべて見えなくなるまで、手を振り続けて下さった職員さんと男の子のすがたを目に焼き付けて、帰途につきました。
今回、参加して感じたことは、自分の手で、自分の好きなものを創り上げるという喜びは、どんな人間にとっても必要なことなんだなと感じられたことです。


そして、このような活動を、東京から駆けつけて、まだまだ困難な状況である4月から継続して走りまわり、プログラムを提供し続けているスタッフの皆さんに、敬意を表したいと思いました。

このような活動は、これからもぜひ必要でしょうし、多くの人の協力なしにはありえないことでしょうから、私にできる範囲で、参加していきたいと考えています。
このようなきっかけに出会えたことに感謝し、これからも何ができるのかを考え続けたいです。みなさん、ありがとうございました。

Written by Naoko

支援企業の一つでもある王子ネピア様の社員ボランティアさんによる活動レポートが公開されています。

外側からの我々の活動を見ていただいたご感想、そして実際に活動に参加頂いた方々からの貴重な意見として我々も拝読させて頂きました。

ぜひご覧下さい。

http://www.nepia-sasaeru.com/report/arts/index.php

今回、ARTS for HOPEに入って初めて遠征活動に参加しました。

被災地に赴くのは初めての事だったので、色々な思いを巡らせながら南相馬に向かいました。

今回はアーティストの後藤朋美さんをお迎えしてのワークショップの第二回目。3日間で幼稚園や児童クラブ計6ヶ所を回りました。

最初は緊張した面持ちでやって来て、私たちとの距離を量るように様子を伺っていた子どもたち。

でも風船やシャボン玉を体いっぱいに楽しむことで体と同時に心も解れるのでしょう、絵を描く頃にはスタッフやボランティアの方を取り合うようにして、僕の、私の絵を見て!一緒に描こう!と人懐っこい笑顔で話しかけてくれるのは、どの施設の子どもたちも同じでした。その笑顔を見るたびに、私の方が元気をもらい、幸せな気持ちでいっぱいになってしまいました。

最初に訪れた上真野幼稚園では昼食の時間にも関わらず、子どもたちが帰る私たちを見つけ、教室ギリギリのところまで飛び出して姿が見えなくなるまで手を振って見送ってくれました。その姿に、私は涙をこらえることが出来ませんでした。

その後、空き時間に訪れた沿岸部とその近くの町の様子に、それまでの気持ちは一転、私は言葉を失いました。そして同時に、ニュースなどでその様子を知っているつもりになっていた自分を本当に恥ずかしく情けなく思いました。

でこぼこの道、津波被害に遭ったまま手付かずの家、田んぼに打ち上げられた船、静かに土ぼこりを上げながら瓦礫を運ぶ何台もの大きなトラック…そこには私たちと同じ空と陸で繋がった土地とは思えない光景が広がっていて、正直記録として写真を撮ることにも戸惑いを感じました。同時にどうしてこんなことになってしまったんだ…とやり場のない怒りを覚えました。

プログラム終了後、先生方とお話できる時間を設けて頂いた施設も多かったですが、その度にとても印象的だったのが、どの施設の先生方も明るく、時にはユーモアを交えて近況を話して下さり、こんな出来事が起こってしまったけど、その事で些細なことでも幸せと感じられるようになったんですよね、と決して現状を憎むことなく受け止めていらっしゃる強い姿でした。

そのような気持ちになるまでには、どれだけの暗い闇を、高い壁を乗り越えていらしたんだろうと私が安易に想像することも憚られますが、被災地の方々がその思いの長い長い道を辿りながら、お聞きしたような前向きな気持ちで日々を暮そうとされていることは、これからの復旧・復興を進めていく中で必ず良い結果をもたらしてくれるだろうと感じました。

奇しくも私たちが東京に戻ってきたのは震災から丁度8ヶ月経った日。

初めて訪れたこの遠征で感じた様々な思いを決して忘れることなく、これからのARTS for HOPEの活動を通して被災地の方々と真摯に向き合っていきたいと思います。

Written by Origa

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