震災以来、津波の被害はなかったものの比較的原発に近いところにいる私は日常を取り戻したかに見える生活を送りながらも、多くの喪失と深い苦しみが存在している地域のことを考えると何ができるのだろうと思い続けていました。
そして,artになにができるのだろう?と・・・・・。そこで、ARTS for HOPEの活動を知り思い切って参加してみました。
青空が気持ちいい暖かな日でした。亘理町児童センターの職員の方々は、被災され避難生活も経験されたというのに、皆さんとても明るく迎えて下さいました。
そして、ハッピードールプログラムが始まりました。色とりどりの布、ボタン、毛糸、リボン。さらさら、ふわふわ、キラキラ、てかてか、の感触と色彩に子どもたちはきっと、わくわくしたことでしょう。
みんなは、それぞれ、自分にしか作れないとっても素敵な作品を、じっくりと作りました。1~2年生の子供たちでも、針と糸を持ち、チクチクと、めげそうになりながらもちゃんと自分でやり遂げます。「偉いね。」と声をかけると、「おばあちゃんが、いつも縫物をしてるのを見てるから。」という子。どんな家族かな?と想像しながら見守ります。
男の子たちも、図鑑をめくっては、喜々として好きな昆虫を次々と作り上げていました。 中には、<かっぱ>なるものを作ってしまった子もいました。
素敵な作品が次々と生まれ、自分の手でそれを作り出した喜びに心が満たされ、ちょっぴりハッピーになれた時間でしょう。
午後に伺った岩沼市でも、ハッピードールを創ることをとおして子どもたちは充実感と、人と人との触れ合いのささやかな時間を、感じることができたのではないでしょうか。
後で、南相馬市から避難してきている子もたくさんいると知り、本当は私たちの知り得ないようなつらい思いを抱えている子もいるのかもしれないと思いました。
一見、普通の日常生活を送っているこの場所の、海側に広がっているであろうかなしい光景を感じながら、私たちの車がすべて見えなくなるまで、手を振り続けて下さった職員さんと男の子のすがたを目に焼き付けて、帰途につきました。
今回、参加して感じたことは、自分の手で、自分の好きなものを創り上げるという喜びは、どんな人間にとっても必要なことなんだなと感じられたことです。
そして、このような活動を、東京から駆けつけて、まだまだ困難な状況である4月から継続して走りまわり、プログラムを提供し続けているスタッフの皆さんに、敬意を表したいと思いました。
このような活動は、これからもぜひ必要でしょうし、多くの人の協力なしにはありえないことでしょうから、私にできる範囲で、参加していきたいと考えています。
このようなきっかけに出会えたことに感謝し、これからも何ができるのかを考え続けたいです。みなさん、ありがとうございました。
Written by Naoko