宮城県

宮城県で開催されたプログラム

仙台へ、打ち合わせに訪れた。

震災後、初めての新幹線だ。

被災地をたびたび訪れているが、いつも資材や材料、
寝袋や飲食料品など山と積み込み、レンタカーで往復してきた。

あんなにダメージを受けた鉄道がこんな短期間で復帰するなんて
奇跡に思える。


合間の時間を利用して、仙台周辺の被災地を視察する。

宮城野区 若林区 名取 閖上

これまで仙台では遭遇したことのない被害が、

一歩海岸の方に近づくと、次々飛び込んでくる。

乾いたヘドロが風に舞い、視界をさえぎる。

匂いもひどい。

喉もやられる。

 

                       各所で遭遇する膨大な被災ごみ

「あの時 どこでどうしてた?」

東北を訪れると、そんなふうな会話の始まりを良く耳にする。

どこでどんな目に遭ったか、それぞれひとしきり報告し合うのだ。

みんなすごい体験をしている。



仙台の海岸地域を南下すると閖上(ゆりあげ)に辿り着いた。

地域はごっそりと流されて

人っ子一人いないゴーストタウンが残されていた。

荒涼とした孤独感が漂っていた。

また子どもたちの声や、人々の笑い声が戻ってくる日はいつになるだろう。

早く戻ってきますように・・・・。

心から願った。

Witten by Masako

外には、自衛隊の方々のテントや車がずらりと並ぶ、岩沼市・市民会館。
その横の、広場には仮設住宅の建設が急ピッチで行われていた。

今日の活動は市民会館の食堂が空いている時間を利用させて頂いた。

最初は、時間のあるご高齢の方が眼鏡ケースや、小銭入れを作りにやってきた。
やはり皆さん、実用的なものを作られ、大事そうに持ち帰る姿が印象的だった。

その後、幼稚園の先生に連れられて、遊びにきた子ども達が、ワイワイとパネルにペイントが始まり、学校から避難所に戻ってきたこどもたちが、人形制作をはじめ、
コーヒーの匂いに誘われて、覗きにきた男性たちが徐々に参加され始めた。

おしゃべりに花が咲き、ちょっとした笑顔があふれる時間。

初めて、裁縫をするという女の子たち。それをちょっと気にしながら、漫画を読んでいる男の子達。

17時に食堂では、夕飯の準備が始まる。
ギリギリの時間まで作業をしていた、子どもを見送るころには、食堂には
自衛隊の方や、ボランティアの方々が作られた夕飯の豚汁の匂いが立ちこめていた。

片付けを終えた我々は、人形を忘れて行った女の子に、作品を届けるため、宿泊している部屋を訪ね、所狭しと並ぶ布団の中で、微笑む少女に人形を届けた。

29日より、一部の人が仮設住宅に移動を始めると施設の方から話を伺った。
あの少女をはじめ、参加して下さった皆さんが今何処にいるかは分からないが、
また出会えることを切に願っている。

written by nao

プログラム開始前、横殴りの雨に見舞われたのが嘘のように
プログラム開始30分前には奇麗な青空が広がっていた。

会場で準備を始めていると、学校が終わった小学1年生のちびっ子達が先生に連れられて児童館へ帰ってきた。
会場となる教室の扉には、子どもたちが入れ替わり立ち代りソワソワと覗きにくる。
「何やるの?」「いつ始まるの?」
児童館に訪れている子どもたちの多くは、家こそはある子どもが多いものの、
震災の影響でイベントや行事はすべてなくなり、今回のようないつもと違う「何か」というのは久しぶりのようである。

準備が終わり、子どもたちが会場の教室へ入ってくる。
床に子どもたちの身長以上もある大きな紙、色とりどりの絵の具。
先生の声も聞いているやらいないやら、目の前のいつもと違うイベントにウキウキワクワク。

「手も足も自由に使っていいよ!」
という高橋の一言から、子どもたちのテンションは一気にボルテージアップ!
キャーキャー笑いあいながら、児童館の先生も参加してあっという間に、白い紙にカラフルな色が所狭しと配色された。
1年生の終了後は2年生へと入れ替わり、こちらも1年生に負けず劣らず、迫力あるペイントを繰り広げた。
終了時間になっても、中々紙から離れようとしない少女から
「またくるよね?」
と念を押されながら、最後の一人を手洗い場へと連れて行った。

プログラム終了後、児童館の先生から、
「あの子、震災後初めて以前の顔つきに戻りました!」
と言って頂いたり、お迎えにきたお母さんから
「この子の、こんなに嬉しそうな顔を見たの久しぶり!」
という嬉しい言葉をたくさん頂いた。
あの屈託のない笑顔の裏で、以前の笑顔を忘れてしまうぐらい、震災による不安やストレスとの葛藤が繰り返されていたのだと改めて思い知らされました。

東京に戻ると、事務所に一通の手紙がきていた。

このような活動をしていると、時折本当にこの活動に意味があるのか?
本当に求められていることなのか?と疑問に思ってしまう瞬間がある。
それでも、常に新しい出会いと活動を続けてこれたのは、
このような何よりも嬉しい、メッセージをもらえてきたからかもしれない。

また行くから待っててね!

written by nao

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