4月 2011

前の日から作りたいものをスケッチに起こして待っていてくれた子どもたち

開始予定時間の前からどんどん人が集まりだした

大事にしていたものも、あまり大事にしていなかったものも

そろそろ捨ててしまおうかと考えていたものもあったに違いないが
生活を穏やかに取り囲んでいた全てのものが消えてしまったので
お母さんたちは実用的なものが作りたいのだと日用品を縫った。

記憶をまとっていたものが「何もない」という事実に
その風景の中で暮らしていなかった自分の想像力は
どんなにかき集めたところで、多分追いつくことはない。


ゆるやかに形成された共同体で、福島からただ一人やって来たおばあちゃんも皆と名前で呼び合っていた。今頃、半数の人が仮設住宅に移っているそうだ

一眼レフを抱えて東北の豊かな風景を歩いていたみのるさんに唯一残ったのは、宮城県の道路地図と大きな虫眼鏡
written by Yui

岩沼 海岸近くの町

探しています!

堤防は津波に勝てない

岩沼の避難所で、すてきな年の重ね方をした、

二人のジェントルマン、アーティストたちに出会った。

一人はトランペッター。
震災で愛用の楽器も無くし、予定していたコンサートも見送った。
来年こそは胸にしみる演奏をぜひ!聞かせて欲しい。

もう一人はフォトグラファー。
東北各地を記録してきたという。
その写真もカメラも今は無い。
でも、これからまた生まれ変わる東北をぜひ!記録して欲しい。

どなたか、
トランペットを1本、寄贈して下さい!
最高のカメラを1台、寄贈して下さい!

亘理周辺1

 

亘理周辺2

 

相馬周辺の家

誰かの大切なものが並ぶ

 

大地震 津波 火事 原発 風評

それによって

大切なもの 大切な人 家や暮らしや仕事を失い

誇りさえも傷つけられようとしている福島の人々

私たちはこれ以上 根拠の無い風評や差別で

福島の人々を苦しめてはいけない

福島県相馬市の避難所を訪れた。

みんなで共同作品を制作した記念に、名前を書こう!
と言った。

すると、子どもたちは、名前以外にメッセージを書き始めた。

がんばろう相馬

力を合わせてがんばる

なかむら二小がんばる!

ふくしまをなおしたい

きれいなまちになおそう

がんばろうふくしま

子どもたちの必死の叫びに胸が熱くなった。

この子たちを これ以上悲しませてはいけない!

written by Masako

石巻から仙台へ

早朝、石巻の町に入った。
また打ちひしがれるようなショックな状態だろうか?

ドキドキしながら進むと、想像したよりはきれいだ。

少しほっとした。

しかし、甘かった。

目の前に現実がどんどん突きつけられた。

おもちゃの船や車のように、こともなげに建物に突き刺さり、
投げ出されている。

異様だ。

通常ありえない視覚体験を、延々と現出させる自然界の力。

石巻は陸の孤島と言われていたそうだ。

壊れた商店街や住居を歩いていると、
明治、大正時代のものと思われる趣のある家具や金庫なども散乱し、
古く趣のある家が立ち並んでいたのだろうと想像される。
震災前に訪れておくべきだったと、非常に悔やまれる。

すべてのものを飲み込んだ津波が、洗濯機のようにかき回して破壊し、
放り出された瓦礫の山がどこまでも続く情景。
その上には、洗濯したてのようにさわやかな青空が広がっていた。
電線のなくなった空が、皮肉にもすっきり美しい。

3階の窓から望む被災地

全焼した小学校の廊下と教室

石巻の小学校前景

石巻港から内陸へ入っていき、突きあたりの高台に学校が建っていた。

近づくと、校庭だったと思われる場所に何十台もの車が積み上がって、
燃えただれていた。

この小学校は、災害時の避難場所に指定されていたらしい。
大地震の後、津波から避難するための車で
この辺りはひどい渋滞になったそうだ。

そこへ津波が押寄せた!
渋滞の車は一気に突きあたりの学校に押し寄せ、
壊れた大量の車から引火して大火事になった。
それは学校に燃え移り、
子どもたちと、避難してきた人々をも巻き込んだ、と聞いた。

ここを素通りしてはいけない!
という感じが強くした。

学校内に足を踏み入れた。

なにかざわざわと、激しい感情が襲ってきた。

火の及んだところはすべて黒々と、燃えかすしか残っていない。
本当に無残で虚しい。

燃えずに残っている部分は、人々の逃げ惑う恐れや狂乱が感じ取れる。
蹴散らされた机や椅子。激しく乱れた足跡。ランドセル。小さな運動靴。

地震の揺れがあり、津波が来て、火事もやってきた。
その中を子どもたちは、どのようにしていられたのだろう?
たくさんのシーンが目に浮かんでくる。
喧騒が、叫び声が聞こえてくる。

2階、3階へと歩くうちに、もうたまらなくなって泣きじゃくった。

本当に大変なことがここで起こったのだ。
そして、実は被災地全域のあちこちで、
このような悲惨なことがたくさん起こったはずだ。

それに直面した子どもたち、人々と
これから私たちは向き合っていくのだということを
改めて真剣に考えていた。

避難所の石巻中学校で

 

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