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ARTS for HOPE 7月9日 南相馬市 かしま保育園訪問

7月9日(土) 猛暑

南相馬市にある かしま保育園を訪れた。保育園の向かいは、仮設住宅が建ち並んでいた。
私は初めての参加ということもあり、またここまでの道すがら、各所に震災の爪痕を目撃していたこともあって、着いたときは緊張と少しの不安に包まれていた。

小さな体育館のようなワークスペース。

ペインティングのプログラムを始めるための準備として、床に白い養生シートを敷く。準備が整った頃、園の先生が20人の子どもたちを連れてこられた。
あとで伺った話だが、今日は土曜保育ということで、普段よりだいぶ人数が少ないらしい。通常は、0歳児を含め125人もの子たちをみているそうだ。

「こんにちはーーー!!!」
汚れてもいいように下着姿の子どもたち。そのとても元気で明るいあいさつにはっとして、私がはじめに感じていた不安がゆっくりと消えていくのが分かった。

それぞれ思い思いの場所にちらばり、つるつるにコーティングされた大きな紙を囲む。
子どもたちがクレヨンを手にすると、白かった紙がカラフルに染まるのはあっという間だった。 りんご、いちご、メロン、ウサギ、ウルトラマン、怪獣、お家、カミナリ雲、etc.…… 色もかたちもさまざまに、のびのびとした線で好きなものを描いていく。

自分で描いたウルトラマンの目を黄色で丁寧に塗っていた子に「それ、ウルトラマン?」と訊ねると、返事の代わりにニッコニコの笑顔をかえしてくれた。
またある男の子は家を描きながら「階段が3つあってねぇ、ここからこっちにワープできるの」「ここは行き止まりなの」「屋根とんがってる」「2階でねてるよ」と説明してくれた。
そうなのかぁ、とんがり三角屋根のお家カッコイイね。と私が言うと、横にもう一つ家を描いて、今度は更に鋭い三角の屋根を乗せてくれた。

お絵かきでテンションが上がったのか、そのうちに数人が周りを走り出し、それを追いかける子たちでとても賑やかになった。
女の子は色を塗り続けている子が多かったが、ある子が向かいの子に違う色のクレヨンを渡すために転がしたところ、受け止める側の子も転がして返し、
そこからそれが周囲に伝播して″クレヨン転がし大会″のようになった。私のところにもたくさん転がって来るので、負けじと転がし返してしまった。本当に、どんなものでも遊びに変わってしまうんだなあと感じた。

新しい紙が用意された。今度は少し表面がザラザラした紙。色とりどりの絵の具が入ったカップに指を入れ、紙の上にぺたぺたと手形がついていく。はじめは指先だけだったのが、だんだんと手の平全体をつけるようになり、そうこうしているうちに足まで絵の具につけて走り回っていた。
今度の紙は、はじめのクレヨン画よりも更に凄いスピードで埋め尽くされた。紙の上だけでは収まりきらず、子どもたちは自分の体全体に色を乗せて遊んでいた。パワーいっぱいで顔や髪、パンツにまで絵の具が付いてしまっている子も居た。そしてどの子も、絵の具まみれの両手両足を誇らしげにこちらに見せてくれた。

この日のチームメイト(左から): ボランティアYasuさん、事務局Naoちゃん、ボランティアSatoちゃんボランティアShinさん、MAYA MAXXさん、宮城チームリーダー小関さん、園長先生、ボランティアTerumiさん、宮城チームリーダーさとみさん、ボランティアRieさん

震災によって、たくさんの恐ろしさ、不自由さを味わってしまっただろうと、思う。けれど、人なつこい子どもたちからはそれを微塵も感じさせない程のエネルギーが満ち溢れていた。

Written by ボランティアスタッフ Rie

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