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ARTS for HOPE 「よっちゃんとひなたちゃん」

東京を出発して、3日目。
相馬市内の仮設住宅で、ハッピードールの日。

ひなたちゃん(5歳くらい)と、彼女の本日2品目の作品、「クリスマスツリー」づくりに取り掛かっていた時のこと。

小学1年生のよっちゃんが、「これ貼れよ」と、キラキラのスパンコールをひなたちゃんに突然差し出した。
二人は初対面だったらしく、また、よっちゃんの1年生とは思えぬ体格の良さとガキ大将キャラもあってか、ひなたちゃんは黙り込んだ。
が、スパンコールに心ときめいたらしく、わくわくした表情で、よっちゃんの言う通り、ボンドで貼ることに。
「キレイ!」。と、ひなたちゃん。
二人は打ち解けた。よっちゃんがボンドを上手に使う指導と次に貼るスパンコールを指示し、ひなたちゃんがそれに従った。

よっちゃんは、ひなたちゃんに「教えるのが上手だね。うちのお兄ちゃんよりすごい」と言われ、ますます指導に熱が入った。
「ひなたちゃんは、何が好き?」と聞き、ひなたちゃんが「りんご」と答えると、マジックでツリーにりんごを描き加えたりもした。

そして、ついに完成したキラキラがいっぱいのツリー。喜んだのは、ひなたちゃん以上に、よっちゃんでした。「俺が教えたんだよ!!!俺とひなたちゃんが作ったんだよ!」と言いふらしていました。

解散後、私はひなたちゃんと、よっちゃんと、よっちゃんの弟をお部屋まで送りました。よっちゃんは、自分のお部屋を通り過ぎてひなたちゃんをお部屋まで送り、「バイバイ」と玄関へ消えようとするひなたちゃんに、「おまえ、日曜日暇?遊ぼうぜ。また来るから、おまえも俺の家来いよな!」と叫んでおりました。
・・・・・・かわいい。よっちゃんが、ひなたちゃんを大好きになってしまったことが全身から溢れ出ていて、また、その中に、「この子は俺がなんとかしてやらなければ」というような男らしさ(?)も感じ、微笑ましくて仕方なかったです。

ところで、活動の最中、福島沖でマグニチュード7.1の地震が起きました。仮設住宅内の避難所も、震度4の比較的長い揺れ。その時の大人の方々に走った緊張感と、子どもたちの反応。楽しい活動の中で、私は、「私と今目の前にいる人たちの、ここにいる意味は違うのだ」ということを忘れることが出来ていたのですが、その時には、また、一瞬で思い出したのでした。

さて、ひなたちゃんを無事に送り、今度は私がよっちゃんをお部屋まで送り、お別れのとき。
「おまえはどこの家?」と、よっちゃん。「東京から来たんだよ」と答えると、「あ、そうなの?うん。じゃあ、また会おうな!!」。
自分が放つ言葉の重みを考え、一瞬迷ったけれど、私はよっちゃんに言いました。
「また会おうな。よっちゃん、頑張れよ!」。
するとよっちゃん、即答。「おう。おまえも、頑張れよな!」
・・・やっぱりなぁ。よっちゃんなら、そう言ってくれると思ったんだよなぁ。なんだか嬉しくて、笑ってしまった。
「うん、頑張る。じゃあね」。

私はまた東京で、世界平和のために、目の前の小さな仕事をコツコツやっていけるな。
そう確信しながら、走って集会所に戻りました。

Written by ボランティアスタッフ Satomi

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